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最高裁判所第三小法廷 昭和45年(オ)392号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由(上告状記載分および上告理由書記載分)について。

本件各売買契約は、被上告人と上告人との間に成立したものと認めるのが相当であり、したがつて、上告人は買主として本件売買代金を支払う義務があるというべきである旨、および、右各売買代金は納品後一か月位の間に支払の約であつたものであり、原判決記載の(ロ)の売買の代金については遅くとも昭和四〇年八月二一日から消滅時効が進行するものというべく、それゆえ、本件支払命令申立の日(同四三年八月一七日)以前に時効期間が満了し、上告人の債務は消滅すべき筋合であるが、被上告人が上告人のところに同四一年一〇月末頃請求に行つたとき、上告人は小国の店を売つたら支払うから半額に値引せよと言つていたので、このとき上告人は本件債務の承認をしたものと解すべく、したがつて、消滅時効は中断されたものであり、結局、上告人の消滅時効の主張は理由がない旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

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